そう思った時、過去の様々な記憶が甦ってきた。 あまり、良い記憶ではなかった。 怒鳴られたり、クスクス笑われたり、白い目で見られたり。 でも、もうどうしようもないことだった。 過ぎ去った時間を巻き戻すなんてことはできない。 過ぎ去った時間のことよりも、今、目の前に残されたわずかな時間を有意義に使おう。 私にはまだやり残したことがあった。 頑張れ、私。諦めるな、私。 悔いを残さないためにもやり残したことをしよう。そう決心した。 「またお前か!」いつもの甲高い怒鳴り声。周囲の白い目。 「なんど注意をすればわかるんだ!」 ああ、いつもの朝と同じだ。もうホームルームが始まっていた。 けれど、朝起きたときの私は知っていた。 もう自分に残された時間があとわずかしかないと。 急いで身支度を調え準備はできた。でも、あの時まだ朝食を食べていなかった。 後に悔いを残さないためにもやり残したことをしよう。そう決心して朝食を食べた。 しかし無情にも、いくら走っても、バスは行ってしまった。間に合わなかった。 ボーッとそんなことを考えている私に、担任がまた怒鳴る。 「お前は人の話を聞いているのか!明日からは絶対に遅刻しないと昨日約束したばかりだろうが!」クラスメートがクスクス笑う。 そうだ。だから私は約束を守ろうと努力したのだ。 だが、朝食を食べずに登校すれば、 昼までに腹が減って後悔するような気がした。 だから、残された時間で、できる限りの努力をしたはずだ。 私は走った。全速力で。 それなのにバスは無情にも私を乗せることなく走り去って行った。 ただ、後3分があればバスに間にあっていた。そうすれば遅刻などしなかった。 私に残された時間が、あと3分ほど足りなかった。 担任は私にこう命令した。「お前は、後ろで立っていろ!」と。 その声で私は目をさました。随分と昔の夢を見たものだ。 だが、昔はいい時代だった。今は、子どもを叱ったり注意するだけでも、親がクレームをつけてくる。 ましてや、後ろに立たせたりしたものなら、虐待だのなんのと大騒ぎをするだろう。 そうだ、急いで用意しなくては、私は教師だ。遅刻するわけにはいかないのだ。
by haru123fu
| 2011-01-16 11:15
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Comments(4)
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harumimi1121
at 2011-01-16 20:28
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バス通だった私は毎朝焦っていました・・・
悪い記憶がよみがえってきました。(-_-メ)
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haru123fu at 2011-01-17 11:09
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ヴァッキーノ
at 2011-01-17 18:28
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ボクもよく。子供の頃のいやな夢を見ますね。
いさの度合いが、増殖したような、精神にグサッとくるような いやな夢です。 ボクはしがないサラリーマンですけど 学校の先生とかだと、生徒を毎日みるわけだから、 そのへんが反映されて、しょっちゅう子供の頃のいやな夢を 見たりするんでしょうねえ。 う~、怖いなあ。
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haru123fu at 2011-01-17 21:09
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