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いない いない ばあ<ショートストーリー>

「いない、いない、ばあ!」「いない、いない、ばあ!」
誰もが一度や二度はこのような動作を経験したことがあるだろう。

ここに一冊の絵本がある。
タイトルそのものが「いない いない ばあ」である。

内容はごく単純で手で顔を隠した動物が
「いない、いない、ばあ!」をする。

クマさんがほらね「いない、いない」
その時点では、クマさんは両の手で顔を覆っている。
次のページを開くと「ばあ!」とクマさんが両の手を広げて顔を出す。
0歳の子ども向け絵本だったと思う。

由美も母親に、赤ん坊の頃からなんどもこの本を読んでもらっていた。
いない いない ばあ<ショートストーリー>_f0227323_19564961.gif由美は、2歳になっても、この絵本が大好きだった。
ひとり遊びをしながら、
ねこさんが、ほらね、「いない、いない、ばあ!」
と言いながらページをめくる。

由美が3歳の誕生日を迎えたある日のこと、
母親もいつものように、由美と一緒に
「いない、いない、ばあ!」をして遊んでくれた。

今度はママが「いない、いない」と言いながらドアの向こうに隠れた。
由美はママが「ばあ!」をしてくれるのをドキドキしながら待っていた。

でもいくら待ってもママは「ばあ!」と顔を出してくれない。
不安になった由美が「ママ、ママ!」と呼びながら半べそでドアを開けた。
ところが、そこにママの姿はなかった。
その日から、いくら待ってもママが「ばあ」と顔を出すことはなかった。

もしも、このドアのむこうが突如現れた異次元世界への入口だとしたら、
由美のママは別の次元へと行ってしまったことになる。

人はいつかどこかで「いない、いない。」をする。
そして「ばあ!」と現れなかったとしたら、
きっと、突如現れた異次元世界へと足を踏み入れたことに……。

異次元世界への入口は、いつどこに現れるかは、誰も知らない。
ただ、そこは多分、人間が『あの世』と呼ぶ世界ではないだろうか。
by haru123fu | 2011-04-15 19:57 | Comments(10)
Commented by 海野久実 at 2011-04-15 23:18 x
いないいないをしながらドアの向こうに隠れた
それっきりママが「ばあ」と言って現れることはなかった

これってメルヘンチックなのに、すごく衝撃的でいいですね。
ショートストーリーで使っちゃうのがもったいないと思いました。

今からついのべを考えます。

「いないいないばあ」
いつもそうやって母親は私をあやした。
でも私はそれが怖かった。
「いないいない」と言いながら両手で顔を隠す母親。
「ばあ!」と言って手を広げると見知らぬ人の顔。
そんな幼い頃の記憶が私にはあった。

私が12歳の時に両親は離婚をし、父の再婚相手がその見知らぬ顔に似ていた。
Commented by 矢菱虎犇 at 2011-04-16 01:25 x
『いないいないばあ』の絵本、知ってます、知ってます!
ボクはいい年こいて絵本コーナーが大好きなんですヨ。最近だと、キモカワイイこびとの絵本とか、恐竜のウマソウの絵本とかヘンテコで愉快です。
今回のお話、ボクは前回の白雪姫続きで、お母さんが離婚していなくなってしまうセツナイお話かなぁって読んでて、ウルトラQ的な展開に思わず石坂浩二のナレーション風に読んじゃいました!
Commented by haru123fu at 2011-04-16 14:01
♪♪ 海野久実さん。
「いないいないばあ」がついのべに(o^-^o)ウレシイです♪
海野さんが命を吹き込んでくれたみたい。さすが海野さんだなあ!
ずいぶん昔に買った絵本で、大好きな絵本でした。きっとどこかにあるはずと探して見たのですが、見つかりませんでした。
海野さんならきっと、小説にも膨らませることができるんだろうな。
なんて思いました。
Commented by haru123fu at 2011-04-16 14:10
♪♪ 矢菱虎犇さん。
わー!虎犇さんもこの絵本ご存じでしたか。
ものすごく単純で、そのくせなんだか暖かくて。
赤ちゃんが「いないない」のところでチョットきょとんとした顔になり、
「ばあ」ってすると、きゃっきゃと笑う。
そんな可愛いお話に……はなりませんでした。(笑)
Commented by もぐら at 2011-04-16 14:13 x
かわいいネコちゃんの動画を見て、思わす一緒に「ばあ」と言ってしまってから
読んだら・・・。
悲しいけど、現実、なお話でした。
こういう作品もきらいじゃないんです。
しんしんと現実が語られるみたいで、それを受け入れるまでにかかった時間まで
想像できて、しんと響きます。
Commented by ヴァッキーノ at 2011-04-16 14:28 x
まあ、なんか子育てエッセイだろうなあって感じで読み進めていったんですけど、
なんだか途中からガキッ!と急カーブしてえ
不思議な雰囲気になりましたね。
ところで、ちょうど今日(さっき)仕事場に赤ちゃんを連れてきた育休中の人がいて、
ボクは、いないいないばあ!
ってやりました。
他人の子供って大きくなるのが早いっすね!
Commented by haru123fu at 2011-04-16 15:14
♪♪ もぐらさん。
>思わす一緒に「ばあ」と言ってしまってから
あははは、娘にたのんで書いてもらったのですが、娘が言うにはうそー、この文章に使ったの?…とふふくそうでした。(笑)
私だって、明るい楽しいお話を書きたいと思っているのですが、
こうもしょっちゅう病院行きでは、なかなか気分転換ができません。
いつか、以前のようにバリバリ仕事をするぞー!って思って頑張って辛い治療にも耐えて来たのですが、夢のまた夢へと飛んで行ってしまった。
現実は超キビシー!それならば、せめてお話の世界だけでもと思うのですが、自分で自分を騙すのは結構難しいものです。(笑)
でも、なにごとも挑戦あるのみかなあー。
Commented by haru123fu at 2011-04-16 15:40
♪♪ ヴァッキーノさん。
赤ちゃんや、子ども達の笑顔って、すごく元気づけられますよね。
きっと、守りたい確かな未来がそこにあるからなのでしょうね。
>子育てエッセイだろうなあって感じで
あー、私には子育てエッセイは、むりだなあ。
子どもは、ほっといたら勝手に育った感が否めません。(笑)
昔から、私には生活感がないとよく言われていました。
(それじゃ私はオバケか妖怪じゃん!)

新潟中越沖地震の際には募金活動とか、何らかのボランティア活動が、できたのですが、今の私はなんにもできません。
それどころか、人の手を患わせることばかりです。
せめて、あーしたてんきになーあれ!☆☆☆
Commented by yokuya2006 at 2011-04-16 20:54
いないいない婆ぁって、突然ママがお婆さんになってしまいましたとさ、ってのはどーでしょうか。

突然、異次元に「どこでもドア」してしまう、ウルトラQ現象に、呆気に取られました。この「思いっ切りの落差」が凄いと思いまする。
Commented by haru123fu at 2011-04-16 21:49
♪♪ yokuyaさん。
>いないいない婆ぁって、突然ママがお婆さんになってしまいましたとさ
きゃははっ!(笑)それって絶対におもしろい。
こんど使わせてもらいたいです。
「いないいない婆ぁ!」うん。いいですね。(ノ∀`)・゚・。 アヒャヒャヒャヒャ
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