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名探偵失踪

『名探偵失踪』 まりん組・図書係より 作 海野久実 
↑リンクを貼らせて頂いています。原作はこちらからどうぞ。


近頃、街では殺人事件が頻繁に起きていました。
それもみな警察の手に余る複雑怪奇な事件ばかりでした。

しかしその殺人事件の謎を解き、ことごとく犯人を特定してしまう天才的な名探偵が現れたのです。
今日も今日とて……

「犯人はお前だ!」
事件関係者が集められた部屋の中で名探偵は声を上げました。
指さされた男は顔色を変え、逃げ出そうとしましたが、その場に居合わせた警官によって取り押さえられました。
「いやあ、お見事です。あなたの名探偵ぶりは後世まで語り継がれることでしょうな」
でっぷりと太った警部が名探偵に握手を求めました。

その時、一人の少女が名探偵の前に歩み寄ります。
「犯人がわかっても死んでしまったパパは生き返らないわ!」
そう叫んで少女はその場に泣き崩れました。
「君はあの被害者の娘さんだね」
名探偵は優しく少女を抱き起します。
そして涙があふれたその瞳を見つめながら言いました。
「そうだね。私は少しも君の力になれなかったね。許しておくれ」

その日以来名探偵は姿を消しました。
探偵事務所にも明かりが点かず、ずっと鍵が掛かったままでした。
警部が何度も訪れましたが、ようとしてその行方は知れませんでした。

しかしその後、街では殺人事件が驚くほど少なくなりました。
喧嘩や強盗などによる単純な、突発的な殺人事件はあったものの、以前のような謎に満ちた警察の手に余る事件が全くなくなったのです。

人々はうわさをしました。
「あの名探偵が事件の起きる前に解決しているんだね」と。



おわり
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by haru123fu | 2016-01-10 02:03 | 朗読・動画 | Comments(4)
Commented by curatortome at 2016-01-10 11:58
凶悪事件を待ち焦がれているような迷探偵が多いのにね。
Commented by marinegumi at 2016-01-11 00:17
探偵自身が事件を呼び寄せているような本末転倒な探偵も多いのにね。

詩とか、ムードで読ませる小説だといいのですが、こういうストーリー的なものは文字が表示された方が理解しやすいですね。
読み間違えてもフォローできますし。
Commented by haru123fu at 2016-01-11 06:20
♪♪ Tome館長さんへ
そうですよね。そこが海野さんの作品の面白さなのかもと思います。
Commented by haru123fu at 2016-01-11 06:22
♪♪ 海野久実さんへ
(ノ∀`)アチャー!確かに。最初は文字を入れるつもりだったのですが、
失敗してしまいました。
いつもいつもごめんなさいです。m(__)m
これに懲りずまたよろしくお願いします。